ARTIST : 高橋悠治

 TITLE : 高橋悠治の肖像

最初期の64年に遡る楽曲にはじまり、05年の近作まで、創作の軌跡を辿る、という趣旨で本人によって企画・演奏された、09年の同名の演奏会の模様を2枚のCDに収めた、文字通り、自身の肖像画を描き出す作品集。
押し寄せるように木霊する音塊と静寂が、透徹とした空間に交差する、クセナキスに師事していた64年に、ベルリンで書かれた、色の形を意味する、ピアノ作品「クロマモルフⅡ」にはじまり、自身のピアノで綴る、万葉集をもとにした葬送の挽歌「なびかひ」、滑らかに奏でるギターと朗読で編んだ、悲劇の英作曲家・リュート奏者の嘆きが響く「ジョン・ダウランド・リターンズ」、尺八の厳かな響きが深遠に木霊する「偲」、伸びやかな声をのせ、軽やかに、リズミカルに歩を進める、リリカルな音が美しい水牛楽団のレパートリー「名前よ立って歩け」に、韓国の詩人の作品につけたフレーズを再構成した、澄んだ憂愁が浮き上がるピアノ・ソロ曲「さまよう風の痛み」。
音楽家、高橋悠治の軌跡を辿り、その変遷、多様な表情を豊かに描き出した、重要なアルバムと成りました。