ARTIST : MAX RICHTER
TITLE : Infra
約2年おきに新作を発表している英在住のドイツ人作曲家マックス・リヒターが、廃盤となっていたファースト・アルバムのリイシューなどを経て、最新作『インフラ』をリリース。
オラフル・アルナルズも過去に音楽提供をした事のある、ロイヤル・バレエ団の振付師ウェイン・マクレガーと、美術家ジュリアン・オピーがコラボレーションした舞台用のスコアを中心にした本作は、ノスタルジックでドリーミーな響きの中からストリングスのたおやかな息遣いが儚げに浮かび上がるオープニング、神秘的に揺らめくアブストラクトなエレクトロニクスに、哀愁に染まった音色が木霊するT-3、滑らかに綴るエモーショナルなピアノ曲T-4、深遠なストロークで、透徹とした響きが哀しげに交わるT-8、荘重な音色が優美に膨らみ、詩情豊かな旋律が鮮やかさを増していくT-10、一転して、深い悲しみを纏った静けさが覆うT-11、モノクロームな色彩が生命力を帯びていくT-13まで、イメージを拡張させるエレクトロニクスやサンプリングを小気味良く鏤めた中に、大袈裟なドラマ性から離れた地点で綴られる静寂美を湛えたハーモニーが、深遠なる、秘めた感情を露にしていく、ポスト・クラシカルのオリジネイターと呼ばれるに相応しい存在感を見せつける傑作。